「つらいときは、思いっきり泣けばいい。悲しみを我慢してはいけません。ただ、うんと泣いた後、ちょっと笑ってほしい。」

瀬戸内寂聴 作家、天台寺住職

つらいときは、無理に耐えなくて大丈夫です。誰でも、どうしようもなく苦しくなる瞬間はあります。胸が詰まって、涙があふれて、何もかもが重たく感じる日もあると思います。でも、そんなときこそ、どうか自分を責めないでほしいんです。

涙は決して、弱さの証ではありません。泣くことは、自分の気持ちに正直でいること。それは、心を守るための自然な反応であり、むしろ強さのひとつだと思います。つらさを我慢し続けると、心はどんどん小さく、苦しくなってしまいます。だからこそ、泣きたいときは、我慢しなくていいんです。

この言葉には、そんな想いが込められています。無理に笑わなくても大丈夫。でも、たくさん泣いたあとには、ほんの少しでも、心がふっと軽くなる瞬間があったらいいなと思います。

泣いたからといって、すぐに全部がうまくいくわけではありませんし、気持ちがすぐ晴れるわけでもありません。それでも、自分の涙を否定しないことが、また前を向くための小さな一歩につながります。

あなたは、完璧でなくていいんです。泣いて、立ち止まって、笑って、また歩き出せばいい。それだけで、十分です。

どうか、今のあなたの気持ちを大切にしてください。つらいときは立ち止まっていいし、何もできない日があってもいい。それでもちょっと笑えたら無問題!みんなで笑おうワッハッハーーー!

発言者のプロフィール

本名:瀬戸内 晴美(せとうち はるみ)
生年月日:1922年5月15日
没年月日:2021年11月9日(享年99歳)
出身地:日本 徳島県 徳島市
身長/血液型:非公開
職業:作家・僧侶

【主な肩書き・活動】

・天台宗の尼僧(1973年に正式に得度)
・小説家・随筆家として多数の文学作品を発表
・人生、愛、苦悩、別れ、死、生き方に寄り添う講演・執筆活動

【特徴・背景】

・若い頃から作家として活動し、1963年に『夏の終り』が文壇で高く評価される
・恋愛、苦悩、孤独、別れ、再生をテーマにした言葉が多くの人の心を支えた
・50代で出家し、僧侶としても人生相談や講演、法話を通じて人々に寄り添い続けた
・晩年もテレビ、ラジオ、講演を通して心に寄り添う温かなメッセージを発信し続けた

【代表作】

『夏の終り』(1963年)
『花に問え』(1996年、谷崎潤一郎賞受賞)
・『場所』(1998年、野間文芸賞受賞)
『死に支度』(2006年)
『いのち』(2010年)
・随筆・人生相談・法話集も多数

引用元

ニッポン放送【瀬戸内寂聴「今日を生きるための言葉」】第917回、2019年2月15日